在宅ワークを始めたばかりの頃は、覚えることがたくさんあります。
仕事の探し方、クライアントとのやり取り、納期の管理。
そこに「税金」の話まで加わると、「もう少し落ち着いてから考えたい」と思ってしまう方も多いのではないでしょうか。
「開業届を出したら、必ず確定申告をしなければいけないの?」
「副業で少し収入があるだけでも必要?」
「そもそも自分は対象になるの?」
年齢を重ねてから新しいことを始めると、こうした制度の話は特に難しく感じるものです。
ですが、基本的な仕組みさえ分かれば、必要以上に身構えることはありません。
この記事では、開業届と確定申告の違いを整理しながら、どんな場合に確定申告が必要になるのか、金額の目安も含めて初心者向けにわかりやすく解説します。
※本記事は2026年7月時点の制度をもとに作成しています。税制や控除額などは法改正により変更される場合があります。最新の情報は国税庁や税務署などでご確認ください。
開業届と確定申告はそもそも別モノ

まず知っておきたいのは、開業届と確定申告は目的が違う手続きだということです。
開業届
開業届は、「事業を始めました」と税務署へ届け出る書類です。
個人事業主として仕事を始める際に提出します。
ただし、在宅ワークを始めたからといって、必ずしもすぐに出さなければいけないわけではありません。
開業届についてはこちらの記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。
関連記事:50代女性の副業・在宅ワークで開業届は必要?出すメリットと注意点をわかりやすく解説
確定申告
一方、確定申告は、1年間の収入から必要経費などを差し引いて所得を計算し、納める税金を申告する手続きです。
つまり、
- 開業届=事業を始めたことを届け出る
- 確定申告=1年間の所得を計算して税金を申告する
という違いがあります。
開業届を出したことと、確定申告をすることは別の手続きであることを理解しておきましょう。
開業届を出したら必ず確定申告が必要?
答えは、必ずしも全員が必要になるわけではありません。
確定申告が必要かどうかは、「開業届を出したかどうか」ではなく、「所得がどのくらいあるか」によって決まります。
ということです。
開業届の有無と、確定申告が必要かどうかは、それぞれ別に考える必要があります。
確定申告が必要になるかどうかの目安

「確定申告が必要かどうか」は、働き方によって目安が異なります。
まずは、ご自身に近いケースを確認してみましょう。
| 働き方 | 一般的な目安 |
|---|---|
| ① 給与+副業 | 副業の所得が年間20万円超 |
| ② 専業で在宅ワーク | 所得が年間48万円超 |
| ③ 扶養内で働く | 扶養制度によって基準が異なるため要確認 |
※いずれも2026年7月時点の一般的な目安です。制度改正や個々の状況によって異なる場合があります。
① 給与を受け取りながら副業で在宅ワークをしている場合
副業でWebライターやWeb校正、ブログ運営などをしている方も多いでしょう。
正社員・契約社員・派遣社員・パート・アルバイトなど、勤務先から給与を受け取り、年末調整を受けている方が対象です。
この場合、副業による所得が年間20万円を超えると、確定申告が必要になるのが一般的です。
「私はパートだから関係ない」と思われる方もいますが、パートやアルバイトでも、副業の所得によっては確定申告が必要になる場合があります。
副業の収入が増えてきたら、一度確認しておくと安心です。
② 専業で在宅ワークをしている場合
給与所得がなく、在宅ワークを主な仕事としている場合は、所得が年間48万円を超えると、確定申告が必要になるケースがあります。
ただし、48万円はあくまで一般的な目安です。
収入の内容や受けられる控除などによって判断が異なる場合もあるため、「自分の場合はどうだろう?」と迷ったら、税務署や税理士へ相談すると安心です。
③ 扶養に入りながら在宅ワークをしている場合
配偶者の扶養に入りながら在宅ワークをしている場合は、少し注意が必要です。
税金の扶養と健康保険の扶養では、判定基準が異なります。
そのため、「48万円を超えたら必ず扶養から外れる」というわけではありません。
扶養に関するルールは、ご自身の状況や加入している健康保険によって異なります。
「扶養を外れたくない」「どこまで働いて大丈夫なのか知りたい」という場合は、配偶者の勤務先や加入している健康保険へ確認しておくと安心です。
「収入」と「所得」は違う
確定申告の説明では、「収入」と「所得」という言葉が出てきます。
この2つは似ていますが、意味が違います。
たとえば、1年間で30万円の仕事を受け、そのためにパソコン用品や書籍など5万円の経費がかかった場合、
収入(30万円)-経費(5万円)=所得(25万円)
となります。
確定申告では、この「所得」が基準になることが多いため、「収入」と混同しないようにしましょう。
先ほど紹介した20万円や48万円という金額も、「収入」ではなく「所得」の金額が目安になります。
金額だけで判断できないケースもある
ここまでご紹介した20万円・48万円は、初心者の方向けの一般的な目安です。
実際には、
- 年の途中で退職した
- 医療費控除を受ける
- ふるさと納税などで確定申告をする
- 複数の収入がある
など、状況によっては確定申告が必要になることがあります。
「20万円以下だから絶対に不要」「48万円以下だから安心」とは言い切れません。
自分が当てはまるか迷った場合は、税務署や税理士などへ相談するのがおすすめです。
確定申告をしないとどうなる?

「必要かどうか微妙なら、とりあえずやらなくてもいいかな」と思いたくなる気持ちも分かります。
ですが、本来必要な確定申告をしないままでいると、無申告加算税や延滞税などのペナルティが発生する場合があります。
「知らなかった」「忘れていた」という場合でも対象になることがあるため、「自分は必要かもしれない」と感じたら、早めに確認しておくと安心です。
日頃からやっておきたいこと
確定申告が必要かどうかにかかわらず、仕事を始めたら次のことを習慣にしておくと安心です。
- 売上を記録する
- 領収書やレシートを保管する
- 仕事用に使った経費を記録する
- 銀行口座やクレジットカードを仕事用と分けることも検討する
最近は、こうした記録を簡単につけられる会計ソフトも増えています。
慣れないうちは手書きやExcelでも構いませんが、記録する習慣を早めに身につけておくと、後々の確定申告がぐっと楽になります。
困ったときの相談先
「自分の場合はどうなるんだろう」と迷ったときに、一人で抱え込む必要はありません。
窓口の担当者は、初めて確定申告をする方への説明に慣れているので、安心して相談してみてください。
税務署の相談窓口
確定申告の時期には、電話や窓口での相談を受け付けています。
初めての方向けの説明会が開催されることもあります。
会計ソフトのサポート・お問い合わせ窓口
会計ソフトを利用している場合は、操作方法だけでなく、制度に関する基本的な質問に対応していることもあります。
税理士への相談
本格的に事業を大きくしていきたい場合は、一度税理士に相談してみるのも一つの方法です。
自治体によっては無料相談会を実施していることもあります。
まとめ|まずは「自分はどうか」を知ることから始めよう
開業届を出したからといって、必ず確定申告が必要になるわけではありません。
大切なのは、自分の働き方や所得に応じて、必要な手続きを知ることです。
最初から税金の制度をすべて理解しようとしなくても大丈夫です。
在宅ワークを続けながら少しずつ知識を身につけていけば、落ち着いて対応できるようになります。
次の記事では、「青色申告」と「白色申告」の違いや、それぞれどんな人に向いているのかを、初心者向けにわかりやすく解説します。