紅茶といえばダージリンやアールグレイが有名ですが、紅茶通じゃなくてもアッサムティーという名前を聞いたことがあるのではないでしょうか?
アッサムティーといえばミルクティーが有名で、寒い季節に飲むこっくり濃厚なミルクティーは格別の美味しさです。
そこで今回は、アッサムティーの味わいや楽しみ方、ダージリンとの違いなどについてご紹介いたします。
目次
アッサムティーとは

アッサムティーとは、インドのアッサム地方で栽培されている紅茶の総称です。
日本茶にも宇治茶や静岡茶など地名がついたお茶があるようにアッサムも地名で、ほかにもダージリンやウバなど地名がついている紅茶の銘柄が多く存在しています。
ところで、インドは世界一の紅茶生産国ですが、そのインドで生産される紅茶の約50%を占めているのがアッサムティー。
アッサムティーは糖蜜のように甘く、芳醇な香りとコクのある味わいで水色は赤褐色で、ミルクティーにすると甘く濃厚な味が引き立ち、イギリス人に長く愛されている紅茶なのです。
アッサムティーの故郷、アッサム地方
世界最大の紅茶場の産地アッサム地方は、インド北東部のブラマプトラ河流域に広がり、降水量が多く、平均最高気温が28~32℃と高温多湿。
標高50~120mと低く標高差が少なく日照時間が十分であることなど、紅茶の栽培に最適な場所です。
そのためアッサム平原には700を超える茶園が点在しており、強い日差しから茶樹を守るシェードツリーと呼ばれる背の高い木が枝を広げ、アッサムならではの風景が広がっています。

アッサムティーの発祥・歴史
アッサム種と呼ばれる植物が発見されたのは1832年のことでした。
発見したのは、イギリス東インド会社のロバート・ブルースという植物研究家で、翌年彼はアッサムに自生した茶の種と苗を持ち帰り、鑑定を依頼したのです。
これがのちに「アッサム種」と呼ばれることになるのすが、当時「お茶ではなくツバキ」と鑑定され、ロバートは失意のうちに亡くなってしまいました。
ところがその後、この植物があらためてお茶であると認定されインドでの栽培が始まり、その6年後1839年にアッサム種の原種から作られたお茶がロンドンのオークションにて高値で落札されました。
このお茶を作りアッサム茶栽培に尽力した人物こそが、ロバートの意志を継いだ弟のチャールズで、以降アッサムがインドを代表する紅茶としての地位を確立しているのもチャールズの功績なのです。
アッサムティーの種類
アッサムティーの茶葉には「CTC製法」「オーソドックス製法」の2種類があります。
CTC製法
アッサム発祥の「CTC製法」は茶葉をつぶし裂き丸める製法のことで、
Crash(つぶす)、Tear(引き裂く)、Curl(丸める)
の頭文字をとっています。
CTCマシーンという機械で3つの機能を処理し、工程や時間を短縮するため大量生産が可能で、アッサムで生産される紅茶の90%以上はCTC製法で作られています。
出来上がりはコロコロと丸い粒状で、短時間で茶成分が抽出するため濃厚な味わいを楽しむことができるので、ミルクティーにぴったりです。
CTCオーソドックス製法
オーソドックス製法は昔ながらの人の手による製法を機械化した伝統的な製法のこと。
夏摘みの上質な茶葉を選んでリーフタイプの紅茶が作られ、生産量はごくわずかで海外へ輸出するための高級品として知られており、ストレートで飲むのがおすすめです。
アッサムティーの収穫期
アッサムティーの収穫期は3月~11月で、その中でもクオリティーシーズンと呼ばれている時期があります。
①ファーストフラッシュ(春摘み)
収穫時期は3~4月。
水色は明るく、甘く爽やかな香りで渋みが少なくあっさりとした軽やかな味わいなので、ストレートで飲むのがおすすめです。
②セカンドフラッシュ(夏摘み)
収穫時期は5~6月。
クオリティーシーズンの中でも一番評価が高く、最も良質な茶葉が採れる時期で、奥深い芳醇な香りが充実し「モルティ―フレーバー」と呼ばれています。
濃厚で力強くアッサムらしさが感じられる最良品とされ、ミルクティーでいただくのがおすすめです。
③オータムナル(秋摘み)
収穫時期は10月頃。
水色は明るめでバラ色の褐色と呼ばれ、味に深みとほどよい渋みがありながら後味はさらっとしているので、ストレートまたはミルクティーどちらでも美味しくいただけます。
アッサムティーの成分
- アッサムサポニン
- ポリフェノール
- タンニン
- カフェイン
アッサムティーの成分の特徴は、ほかの紅茶にはない「アッサムサポニン」。
アッサムサポニンはポリフェノールの一種で、タンニンと同じ渋み成分で、紅茶の味わいと色合いの主役となっています。
また、アッサムティーはほかの紅茶よりもタンニン含有量が1.5倍ほど多く、アッサムティーの水色が赤褐色なのはポリフェノールが豊富な証拠でもあるのです。
アッサムティーとダージリンの違い

アッサムもダージリンもインドを代表する紅茶の産地です。
どちらもインド北東部に位置していますが、紅茶の特徴は正反対といってもいいほど異なりそれぞれに特徴があります。
アッサム | ダージリン | |
---|---|---|
位置 | 標高50~120mで標高差が少ない広大な平原。 | 標高2000mで茶畑は谷間の急斜面にある。 |
気候 | 亜熱帯気候。降水量が多く平均気温は28~32℃で高温多湿。 | 平均気温25℃前後で冷涼で乾燥した気候。 |
茶葉 | アッサム種。 葉が大きめでカテキン含有量が多い。 | 主に中国種や中国交配種。 葉が小さくカテキン含有量が少ない。 |
特長 | 水色は赤褐色で濃厚なコクと深みのある香り。 | 水色が薄く上品な色香りで「紅茶のシャンパン」と呼ばれる。 |
生産量 | インドで生産される紅茶の約50%を占める。 | インドで生産される紅茶の1%にも満たない。 |
このように、同じインドの紅茶でもそれぞれ特徴があり個性を持っています。
また、アッサムでも収穫時期や製法、茶園によって味わいや香りは様々なので、いろんな茶葉を飲み比べてみるのも楽しいでしょう。
アッサムティーの楽しみ方

アッサムティーの味わい、特長
- 糖蜜のように甘く、芳醇な香りとコクがある
- 深い赤褐色の水色
- ミルクティーで楽しむのがおすすめ
- クセがなく飲みやすい
ミルクティーといえばアッサムといわれるほど、ミルクとの相性抜群。
ミルクに負けない濃厚でしっかりしたコクと深みを持っているので、チャイ用の茶葉としても定番です。
もちろんそのままストレートでも楽しんでいただけますが、その場合は渋みが際立たないように軽めに抽出するのがおすすめです。
アッサムティーの淹れ方
ミルクティー
- ティーポットとカップを温めておく
- ティーポットに茶葉6~8gを入れ、熱湯を300cc注ぎ、4分蒸らす
- スプーンで茶葉を軽く混ぜ、茶漉しで濾しながらカップに注ぐ
- カップに注いだ紅茶にミルクを加える
ミルクティーにする場合、茶葉はCTC製法のものがおすすめ。
ミルクは温めなくても大丈夫、お好みで砂糖を加えても美味しいです。
ストレートティー
- ティーポットとカップを温めておく
- ティーポットに茶葉を6g入れ、熱湯を300cc注ぎ、3分蒸らす
- スプーンで茶葉を軽く混ぜ、茶漉しで濾しながらカップに注ぐ
ストレートティーで楽しむ場合、茶葉はリーフタイプがおすすめ。
芳醇な香りと深みを味わうため最初はストレートで、その後お好みで砂糖を加えてください。
アッサムティーのまとめ
今回は、アッサムティーについてご紹介いたしました。
- ミルクティーにおすすめの茶葉
- 赤褐色の水色と芳醇な香り、深みのある味わい
- アッサムティーだけのアッサムサポニンというポリフェノールが含まれている
アッサムティーはストレートでも美味しくいただけますが、濃厚な味わいと芳醇な香りはミルクティーにするとより美味しさが引き立ちます。
寒い季節にこっくりと美味しいミルクティーでほっとひと息いかがでしょうか。