人生には、思いもよらない出来事が起こるものです。
私自身、50歳で失業するなんて想像もしていませんでした。
それまでの私は、仕事中心の毎日を送り、プロジェクトを任されることにやりがいを感じ、「仕事が生きがい」とさえ思っていたのです。
ところが、会社の廃業によって生活は一変します。
私のように突然失業する人は多くないかもしれません。
それでも、50代になって生き方に迷ったり、働き方を変えたいと悩んだりしている方は少なくないのではないでしょうか。
今回は、50歳で失業した私が、52歳で未経験からWeb校正者になり、「年齢に左右されない働き方」を見つけるまでの道のりをお話しします。
この記事を書いた人

七花
Web校正者
50歳で失業後、52歳から未経験でWeb校正者として活動を開始しました。本メディアではWeb記事の校正・校閲・品質管理・ディレクションを担当。
|文章術|在宅ワーク|Web校正|
失業して初めて気づいた、自分のプライド

「まさか私が失業するなんて。」
ショックというより、この先どう生きていけばいいのか分からず、途方に暮れていました。
同僚の多くは再就職を選びましたが、私はどうしても会社員に戻る気持ちになれませんでした。
「50代からは、もっと自由に働きたい。」
そう口では言っていましたが、本当は違いました。
もう一度、誰かの下でゼロから働くことへの抵抗があったのです。
それまで私は約30名のスタッフをまとめるプロジェクトリーダーとして働いていました。
ある程度の裁量があり、自分で判断し、チームを動かす立場だった自分が、また新人として一から仕事を覚える姿を受け入れられなかったのです。
もちろん、そんなことを言っていられる状況ではないと、頭では分かっていました。
それでもクラウドソーシングに登録することすらできず、失業から1年以上が過ぎていました。
私の前に立ちはだかっていたのは、年齢ではありません。
エベレストのように大きく見えた、自分のちっぽけなプライドだったのです。
「個人事業主」という肩書きだけでは何も変わらなかった

当時の私は無職でした。
それでも周囲の目や自分自身のプライドを守るため、開業届を提出し、個人事業主になりました。
何を本業にするかも決まっていませんでしたが、ホームページも名刺も用意しました。
事業内容には自分ができそうなことを記載し、見た目だけはそれらしい個人事業主です。
ただ、私に覚悟がなくて、営業することも積極的に仕事を受けることもできなかった。
ホームページも名刺も、まるで絵に描いた餅だと自分では分かっていました。
だから、次第に知人と会うことも億劫になり、家にこもる時間が増えていきました。
とはいえ、みるみるうちに貯金が減り、「もうプライドなんて言っていられない」という状況が差し迫ってきます。
私は、クラウドソーシングに登録し、小さな仕事から始めることにしました。
アンケート、ライティング、WordPress入稿……。
評価を積み重ねながら、「本当に自分が続けたい仕事」を探し始めたのです。
52歳で出会った「Web校正」という仕事

さまざまな仕事を経験する中で、私はオンライン秘書として働く機会を得ます。
クライアントはWebメディアを運営しており、私はライター管理を担当していました。
その流れで校正を任されるようになり、気づいたらすっかりハマってしまったのです。
会社を辞めてから初めて「この仕事を一生続けたい」と思え、Web校正が私の本業になりました。
理由は収入や働き方の条件だけではありません。
誰かの役に立ち、文章をより良くすることで社会に貢献できる。
毎日学びがあり、これまで積み重ねてきた経験がすべて生かせる。
そんな仕事に出会えたことで、ようやく自分自身を肯定できるようになったのです。
校正との出会いは、偶然だったのかもしれません。
でも、その仕事に魅力を感じ、もっと学びたいと思い、ほかの仕事を断ってでも続けようと決めたのは、誰でもない私です。
自ら校正者を目指したわけではありません。
それでも、最後に選んだのは私でした。
年齢に左右されない働き方は、自分で選び続けること

無職だった1年間は、自分のプライドと向き合い続けた時間でした。
苦しかったけど、あの時間があったからこそ、本当にやりたい仕事と出会えたのだと思っています。
未経験でWeb校正者になったとき、私は52歳でした。
この年齢で新しい仕事に挑戦できたこと、そして「もっと学びたい」と思える仕事に出会えたことを、今でも幸せに感じています。
50代になると、壁にぶつかったり、自分を情けなく思ったりすることがあります。
「今さら何をやっているんだろう」と逃げ出したくなる日もあるでしょう。
でも、年齢を重ねたからといって、人生の答えをすぐに見つけられるわけではありません。
悩み、迷い、もがきながら、自分自身で答えを見つけていくものなのだと思います。
私は50歳で仕事を失いました。
でも、52歳で新しい生き方を見つけました。
年齢に左右されない働き方とは、年齢を忘れることではありません。
偶然訪れたチャンスを自分で選び、自分で歩み続けること。
私にとって、その答えがWeb校正という生き方でした。




